mitsuhiro yamagiwa

2023-09-01

記号論的な様態

テーマ:notebook

イヌ ー 人間のもつれあい

 イヌ ー 人間関係の土台にある階級構造は、同時に(だが、等しいわけではなく)、生物学的な事実であり植民地的な事実である。

 他なるたぐいの存在の観点をある程度受け入れることは、私たちがその存在「と一緒に」他なるたぐいに「なる」ことを意味する。

 種の境界をあいまいにすることとそれらの差異を維持することのあいだには、絶えざる緊張があり、問題は、どちらの極にも引き込まれることなく、この緊張を生産的に維持するための記号論的な手段を見つけることである。

夢見

 比喩的な夢は、意思疎通の可能性を失わずに存在のたぐいのあいだの差異を認識し、維持するようにして、それらのあいだにある何らかの生態学的なつながりを経験する方法である。

 比喩はつながりを指摘するようにズレも認識する。

 すなわち、図と地の区分は、文脈によって変わりうる。

 二つの存在の視点をつなげると同時に、これらの存在が住まう異なる世界を認識することで、比喩は決定的な制動装置として機能する。その制御装置は、ルナが他なるたぐいの存在と相互作用する仕方に本来備わる区分をあいまいにするような性向に対して作動する。

イヌ科命令法

 あらゆる水準において、たぐいを分離する境界を越えながらもそれを不安定にすることなく意思疎通できるということが目指されている。

種間の発話

 イヌに話しかけるときに利用される言葉は同時に、その区分をあいまいにするこの過程そのものの例証のひとつでもある。

形式の制約

 言語を用いずにいかに「するな」と言うのか、というこの難問については、ベイトソンがイヌも含めた多くの哺乳類の意思疎通に見られる興味深い特徴に気づいていた。

 インデックスによって伝える唯一の方法は、咬むという行為を再生産するが、ただし通常のインデックス的な連合から切り離されたやり方を取る、ということである。

 いかに動物が話をするのかを想像すること、あるいは、人間的な発話を動物にも割り当てることだけでは十分ではない。私たちはまた、動物同士で意思疎通するために用いる記号論的な様態に特有の特徴的から課される制約に直面しているのであり、そして、応答するように強いられている。その成否にかかわらず、この試みは、非象徴的な記号論的様態の形式的な制約に対するアブィラの人々の側の感受性を明らかにする。

『人間的なるものを超えた人類学 森は考える』エドゥアルド・コーン/著、奥野 克巳・近藤 宏 /監訳、近藤 祉秋・二文字屋 脩 /共訳