mitsuhiro yamagiwa

2024-02-23

共通する現実

テーマ:notebook

第4章 革命的になることーーカジミール・マレーヴィチについて

 芸術はどのようにして進歩の破壊性に抵抗することができるのか。永遠の変化を逃れる芸術、非時間的で、歴史横断的な芸術をどのようにしたら作ることができるのか?

 マレーヴィチにとっての唯物論とは、歴史の変化の中ではどんなイメージも固定することはできないということを意味している。

 芸術の運命はあらゆる他のものの運命とは異なるということはありえない。共通する現実とは、物質的な力の流れおよび制御不可能な物質のプロセスにおける、形態崩壊、溶解、消失である。

 「崇高なるものとアヴァンギャルド」の中でジャン=フランソワ・リオタールは、モダニストの芸術は不安の極限状態を反映していると書いている。

 物質的な力の運動は非目的論的である。そのようなものとしてそれは目的に達することができずに終わりを迎える。この運動はすべての有限のプロジェクトや成就の永遠の破壊を生み出す。

 芸術家はこの物質の流れの無限の暴力を受け入れてそれを流用し、自らをそれに感染させる。

 ここで目標となるのは、既存の「悪い」秩序から新たな「良い」秩序への変化として理解される変化ではない。むしろラディカルで革命的な芸術はすべての目標を放棄し、芸術家が終わりをもたらすことを望まず、望みえない、非目的論的で潜在的に無限のプロセスに入るのである。

『流れの中で インターネット時代のアート』ボリス・グロイス/著、河村彩/訳