ゴム
ゴムノキがあるところは往々にして、川へと流れこむ沢のそばであることが多い。
ゴム経済は、ゴムを見つけるために水系を遡り、そしてゴムを下流に流すことで、存在する共有された形式的な類似性につけこむ経済システムにおいて、物理的な領域と生物学的な領域を統合するよう、これらの型を連結した。
ゴム・ブームの経済は、捕食的連鎖、植物と動物の空間的な配置、水界地理学的な分布といった部分的に重なる一連の形式を、共通の類似性をつなぐことで統合したために、存在し、成長することができた。その結果、これらのより基本的な規則性が、ひとつの覆いとなる形式ーーその支配からはほとんど逃れることのできない、搾取するための政治経済的的な構造ーーの一部となった。
しかしながら、シャーマニズムは単に植物地主義の産物であるだけではない。シャーマニズムと植民地的な搾取は同じように、部分的にはそれらを超え出る共有されたひとつの形式によってとらえられ、制約され、活用される。
創発する諸形式
「創発的」という語は、新しさ、未決定であること、複合的であることだけを意味するためのものではない。
それらを引き起こした基本的な構成要素に還元しえない、新奇な関係による特性が現れ出ることを、ここでは意味する。
象徴的指示は、それが依存し、由来するイコンとインデックスとの関係において新たな創発的な特性を示す。
形式の生=社会的な効力は部分的に、その構成部分を超出しながらもそれと連続するあり方に宿っている。創発する形式は、低位のエネルギーの流れと物質性に常に接続されるという意味で連続的である。
森の主たち
森の霊的な主たる領域というより高位の秩序に創発する領域において、狩猟や大農園、都市は、周囲にある資源の分布の型との関係において類似性のために、互いに同列になる。これらの異なる領域を越えて形式が増え広がるには、階層は欠かせない。
いかに人間的な領域において形式が増幅されるのかは、明らかにあまりに人間的である歴史上の偶然からもたらされている。そしてその一方で、ここで唯一例化されたものであるとはいえ、階層それ自体も形式のひとつのたぐいであり、この世の身体と歴史の偶然性を超え出る独自の特性を備えている。
記号的な階層
象徴的な指示はインデックスを必要とするが、インデックス的な指示は、象徴を必要としない。
つまり、リスカッコウの鳴き方をルイーサとアメリがどのように扱うのか、という点に見られる差異は、必ずしも人間的であることはない生命の記号過程と、この非人間的な記号過程を特定の仕方で引き継ぐ人間的な形式の記号過程のあいだの階層的な（例えば、一方向的、入れ子状など〉区分を明らかにする。二つの種類の記号過程のあいだのこうした区分は、生物学的でも、文化的でも、人間的でもない。それは形式的である。
『人間的なるものを超えた人類学 森は考える』エドゥアルド・コーン／著、奥野 克巳・近藤 宏 ／監訳、近藤 祉秋・二文字屋 脩 ／共訳
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