第五章 ストレージャーの生態学
とにかく可能性を考えてみることで、自分の現実と同じくらい深い、他人の現実に気づく余地が生まれる。それが、他人が自分の邪魔をする、鈍い存在にしか思えない、自己中心的な「初期設定」と訣別するきっかけになるのだ。
唯一選択できるのは、この現実を認めるか認めないかだけだ。
「見る」(behold)という行為が行きつく先は、「持ちつ持たれつ」(beholden to)の関係性なのだ。
私がこれまで自己の生態系について述べてきたことが真実であるのなら、人間以外の存在が織りなす緻密な関係性のなかでのみ、私たちは自らの人間性を深く体験できるのだ。
『何もしない 』ジェニー・オデル/著、竹内要江/訳より抜粋し流用。