われわれは理性を見失うがゆえに悪に転じるのだろうか？ーー西部劇のプロットや復讐劇にしろ、仇を打つには従来の女性であることはハンデとなる。核戦争後の荒廃した地では誰もが過去を語れぬ流れ者、越境者でしかない。一人の戦士になるには感情が命取り、情念よりも理知的なる身体が戦略の攻防となり生存競争の勝敗も決定づける。
正義感へいたる経緯は自尊心を呼び覚ます。
カタストロフは告げる”失われたものはかえってこない”と。
身体は現存するからこそ救いようがある。
それが唯一性なのかもしれない。
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《ヒュラスとニンフたち》の描きかけの壁画はその後…。を暗示させる前作へと連なる。