“Escher. Behind the Paradox”
「最も低い場所に向かって収斂する重直線が建物の高さを示しており、鑑賞者は自分が建物の中にいると感じる。そして同時に、下を見下ろしたときに感じるような目眩の感覚にも捉えられる」。
《サン・ピエトロ大聖堂内部》 1935年 Inside St. Peter’s wood engraving
連続した形「連続の法則」
平面を無限に細分化する方法はグラフィックアートに寄与する。その連続した形は同時に錯視を誘発し、構成的パラドックスを生む。循環性、永遠性、継続性の主題はテセレーションという敷き詰めが現わすように《平面充填 》しつつメタモルフォーゼ(変容)する。
エッシャーを語るうえで欠かせない「描くことは欺くこと」。それらは無限を示唆しつつ「つくることこそあざむくこと」でもあると言い換えられるかもしれない。
「観察力を自然の微細なところまで注意を行き渡らせ、はるか遠くにある地平線まで包み込む背景と融合させている」
「芸術家の自我は、どうしたって彼の世界の中心にある」
《写像球体をもつ手》1935年 Hand with Reflecting sphere lithograph
《描く手》1948年 Drawing Hands lithograph
《対照(秩序と混沌)》1950年 Contrast (Order and Chaos) lithograph
“対象”とは、私たちにコントラストを与える、その対照を指すのかもしれない。
それは反射的に自画像?セルフポートレートへ回帰させるのかもしれないが、端的なる現代化においては資本化 = 情報化を表徴するにすぎない。
「感覚」とは不安定な状態を指す。