mitsuhiro yamagiwa

2022-06-22

真理以前の時代?

テーマ:notebook

第七章 ポストトゥルースとの戦い

 わたしたちはいまや、明白なことを繰り返し言うことがインテリの第一任務となるようなどん底に沈んでしまっている。ーージョージ・オーウェル

 わたしたちは訪れつつあるものをこれ以上理解する必要はない。わたしたちはそのただなかで生きているのだ。

 わたしにとって重要なのは、事実が重要でない世界で生きるために順応する仕方を学ぶことではなく、真実[真理]の概念のために立ち上がり、反撃する仕方を学ぶことである。

 わたしたちからの「対言言説」があってはじめて、彼らが嘘つきの言うことを疑う理由が出てくるのではないだろうか?最低でも、嘘をそれが嘘だと証言し、嘘とあるがままのものを引き比べることが重要である。ポストトゥルースの時代において、わたしたちは事実問題をあいまいにする個々の試みすべてに異を唱え、嘘が腐敗し悪化する前にそれを挑まなければならない。

 わたしたちがすべての事実を知っているわけではないとわたしたちのなかの小さな部分がささやくことがあったとしても、わたしたちは自分自身が信じたいものを疑うことができるだろうか?

 ポストトゥルースの危険性は、わたしたちが事実や真実とみなすものを形づくる役割を自らの意見や感情に与えることだけにあるのではない。そうすることによって、現実それ自体から隔たってしまうリスクもあるのだ。

 ポストトゥルースは現実とは関係ない。それは人間が現実に反応する仕方に関係する。

 誰かがわたしたちの目をくらませようとしている世界に対してどのように反応すべきか。これは、わたしたちが決定できることだ。つねにそうであったように、真実はいまだに重要である。わたしたちがこのことを理解するのに間に合うかどうかは、わたし自身にかかっている。

『ポストトゥルース 』リー・マッキンタイア/著、大橋 完太郎/監修、居村 匠・大﨑 智史・西橋 卓也/訳より抜粋し流用。