
戦時体制下の表現
ー使ったつもりが使われたー
8/11-16
ギャラリー82
https://www.82bunka.or.jp/gallery/2026/06/post-84.php

ごあいさつ
日の丸などの表象は、自然に国家や権力と臣民の一体感を醸成させているようです。そして、政府も、あらゆる局面でデザインを利用し、また、時代の要請に応じて規制もしていきます。
奇しくも2026年7月17日、国旗損壊罪法案が参議院で可決、成立しました。国旗損壊罪法は、政府への批判方法の一つを「お気持ち」で封じ、棄損の様態も不明瞭という問題が指摘されています。そんな法の背景に、国旗を特別な存在にする意図を感じてしまいます。
思わずタイムリーとなった国家の表象を中心に、歴史を振り返りつつ、現在地を確かめ、今後の参考にしていただければ幸いです。
2026年8月11日 信州戦争資料センター代表
国民精神総動員と戦勝
戦時下、民心に厭戦気分が広がることを政府や軍は恐れます。臣民を戦争のための指示に従順に従わせるための方策であり、その旗印であるのが「国民精神総動員」でした。
こうしたスローガンや勝ち戦の広告や商品への利用が、戦争を身近に感じさせて庶民の戦時意識を自然に高め、政府や軍の宣伝におおいに寄与したのではないでしょうか。
戦争と日の丸の氾濫
人々に「個」が認められず、あくまで大日本帝国のために尽くすことが求められていました。この統治体制を維持するため、常に国家を意識させ人々を従属させつつ、一体感も養う役割を担ったのが「日の丸」でした。
日の丸は欠かせないものでした。そんな時代ですから、商業広告にも、何かと日の丸のモチーフが登場します。日の丸の権威を借りる、権威に寄り添うことで広く受け入れられる、そんな狙いがあったかもしれません。
戦争を利用する広告と報道
戦争と海外派兵・駐屯は繰り返し続けられ敗戦を迎えますが、それまで戦争と軍隊は「発展する帝国」の力の象徴となっていました。
物資の民間への割り当てが細る戦時下においては、戦争遂行への協力姿勢が商売の生き残り策にもつながっています。
報道も同様で、規制以前に、読者が求めるのは兵士の奮戦や消息であり、戦死者への賛美であり、新聞はそれに応じていきます。多くの臣民がかかわる戦争ほどその傾向は強くなり、あらゆる表現が政府の戦争指導と並んで歩み、絡めとられていきます。
国家や軍事絡みの商標
国家や軍隊に対し、力の象徴や帰属することによる安堵感といつた庶民の共通の素地があれば、そこに乗るのも商売の方法です。そんな親軍・親国家的な商標が多数存在しました。
酒の銘柄は、戦時となると出征や勝利のたびに使われるものですから特に軍との親和性が高く、駐屯地とのつながりを意識した銘柄もありました。また、天皇=国家をイメージする、菊や神武天皇の神話に絡む金鵄といった題材も、多数デザインに取り入れられています。
庶民に身近な切手と紙幣
国が発行する切手や中央銀行などの紙幣は、いずれも庶民にとって身近な存在。戦意高揚のデザインは、こうした普段使いの品にも登場し、戦時意識を浸透させています。
国策推進のためのポスター
敗戦前、特に1937(昭和12)年7月7日の盧溝橋事件に端を発した日中戦争以後はおよそ8年にわたって戦争が続いたため、さまざまな国策に協力をさせるためのポスターが作られています。主体は政府、軍、そして政府の意を呈した大政翼賛会でした。
また、日中戦争当時は比較的穏やかだった言葉でしたが、次第に厳しい単純なフレーズのものが目立つようになっていきます。
そして、戦費確保の債券や国債の販売から、さまざまな物資の不足を反映した内容のものが出てきて、その時代の変化を映していきます。人々を言葉が引き回した時代の様子、標語が乱発される社会の雰囲気を感じ取ってください。
